泣いて泣いて、号泣ってこういうことかってくらい泣いて、ようやく枯れた。
もう空っぽな気がする。
「嫌われた方が楽なんだ。俺、どうしたらいい?
嫌いになる方法教えてくれよ!?
なんであいつ、男なんだ、なんで俺はあいつがこんなに好きなんだ」
「なんでだろうねえ…」
ゆったり、連理が呟いた。
「お前って本気で恋したことないの?」
噛みつくみたいに出た言葉に連理は微笑んだ。
「あるよ」
その笑顔に、俺は驚いた。
あんまり寂しそうで。
あんまり悲しそうで。
「…誰?」
連理の唇が薄く開いて、苦しそうに吐き出した。
「例の家庭教師」
ああ、そうか。
連理は本気で好きだったんだ。
痛い。
わかるから痛い。
「あっちは単なる暇潰し…つうか自分好みに教育したんだろうけどな」
自嘲気味な声が震えた。
「いまでも好きか?」
「嫌いだよ」
泣き顔みたいな笑顔。
「…けど」
交差させた長い指に力がこもった。
「もっかいだけ…好きって言われたい」
連理を初めて見た気がした
「連理…」
俺は、全身が痛かった。 息が止まるくらい強く、抱き合うべきだと思った。