「三百五十人ヨ……。外にまで溢れちゃってるから、すぐに始めましょう」
「はい……」
「リルナちゃん、大丈夫?」
リルナは静かに頷いただけだったが、怖がりながらもしっかりと前を見据えていた。
「さ、出番ヨ…」
すぅっと、深呼吸をしてから、
目一杯の笑顔で、リルナは舞台へと上がった。
リルナは今や、実質的にこの店のNo.1となりつつあった。
その人気は不動のものとなっていた。
マキよりも僅かながら多い客は、そのほとんどが昨日は帰った生粋のリルナファンたちだった。
「リルちゃぁああん!」
「また気持ち良くさせてくれ!」
「会いたかったよーー!!」
「リルナちゃぁあん!好きだ〜!!」
リルナは涙をこらえて、頭を下げた。
会場は一瞬にして静まった。
「……こんばんは。一昨日は最後の最後で気を失っちゃって。昨日にいたっては、お休みしてしまいました。
本当に……本当に、皆さん。
申し訳ありません」
再び頭を下げたリルナを、何人かの声が静止した。
「ううん。みんなを裏切ったのは…私だから。だから、今夜は…目一杯楽しんでいって下さい!
それが、私にできるお詫びです」
リルナはゆっくり舞台から下りて、整理券一番を持った男性の腕をとった。
「みんな、順番通り並んでね。
必ず、必ずみんなを一人残らず気持ち良くしてあげます!!」
静まっていた会場が一気に盛り上がり、かつ客はきちんと順番通り並び始めた。
(そうだよ……。
不安だらけのままじゃ、
みんなに信用されっこなかったんだ。
こうやって、また一から始めればいい…)
リルナは一番目の男性の肉根を根元までくわえ込み、
上目遣いに尋ねた。
「…っんぐ、…ぷはっ、気持ち良い…?」
「あぁ……リルちゃん…気持ち良いよ……!」
今までとは違う。
リルナは使命感から解放され、
素直になれている気がした。