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ラック・ガール #49

輪廻 2011-03-05投稿
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リルナの瞳から零れた涙が、
二人の唇に染み込んだ。

「………………」

「……リルナ……。
お前がどんな人間だろうと、
俺には関係無いからさ。

だから、お前。

もう、意地張るなよ。

マスターへの恩返しは、
お前が普通の女として生きることなんじゃないか?」

「………そんなの…。
私にはできっこない……。

証拠はなくなっても、
沢山のお客さんが私を覚えてる…。

そんな私と一緒にいたら…きっと……。

嫌な思いするから…」

蹴人はリルナの頭を撫でた。

「そんなもんなら、
いくらでもしてやるさ。

お前と…リルナと一緒にいられるなら」

「……なんで……。
…私にはなにも無いよ………?
返せるものも…出来ることも…」

「………見返りが欲しいから…お前のそばにいるわけじゃない」

「…………分からないよ…。
私は…今まで男の人は……何か目的があって…女の人を選ぶんだって…思ってて…。
その人の体とか…言葉とか…。

単純にストレスの捌け口だったりもしたよ…?

そばにいるだけなんて…

分からないよ………」

リルナは蹴人の指を握った。

「……………」

「ね、私は………私には何ができる?
何があるの…」

蹴人はたどたどしく握られたリルナの手を、
思い切り握り返した。

「心だ」

「…こころ…?」

「お前が、今まで生きてこれたのは、
その心があったからだ。
いろんな目に遭ってきたって、
リルナが休んでた時にあの二人から聞いたよ。
今まで…大変だったんだろ?
でも、お前は誰にも何もしないで、
全部、自分の中だけで解決してきた。

お前にはそんなに強い心があるじゃないか」

リルナは首を横に振った。

「そんなの…!!
そんなの……私は…逃げていただけだよ…今までだって…。
今だって……マスターを犠牲にして…」

「……そうやって、俺からも逃げちまうのか…?」

「え…」

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