教室に入り、着席し…授業をする為に教科書を入れようとして、ふっと手を止めた。
机の中に何かある。
一辺の紙切れ…
取り出してみると
俺を信じて
何があっても
とだけ、書かれていた。
ハッと顔をあげ、連理を見る…と、連理は追い詰められた兎みたいな顔をして、何かを握りつぶす動作をした。
この紙をってことか?
なぜ?
俺はそれを小さく小さく折り畳み、鞄のポケットにしまった。
まるで…生き返ったようにふわり、と体か温かくなった。
連理の考えてることはわからなくても、明らかな連理からの言葉に
心臓が動き出した気がした
この日を境に、連理は俺に絡まなくなった。
話すことは必要最低限で、目を見つめ返すことも、微笑むこともない。
それぞれが、それぞれの友達とだけ遊んでいる。
俺は、不安になると…あの紙片を握りしめる。
メールも電話も会話もないのに、連理を信じる俺がいる。
連理が俺を避けるのは何か理由があるに違いない。
俺は自分自身に言い聞かせていた。
そんな風に五日も過ぎた頃…俺は庄野に呼び出された
誰もいない音楽室に。