「藤原さん…」
解ってる、というように頷いた。
初めてである必要はない。
泉堂はほっとしたようにため息をついた。
お互いまだ、名前さえ呼び合えない仲なのに…身体だけ重ねてる。
というか、敢えて名前を呼ばないようにしていた。
ある程度冷静でいられる気がして。
ほんの気休めだけどね。
白い腕がシャツの隙間をぬって、背中を撫でる。
冷たい掌だ。
「ふ…っ…」
押し殺した喘ぎに止まらない激情。
泉堂のベルトを緩め、自分のも緩めた。
暗闇に慣れた目に、美しい顔が見返している。
彼はゆっくり起き上がり、ベッドで膝立ちになっている俺に、まるで猫のように四つん這いになって近づいた。
するっと膝まで落ちたズボンから現れたトランクスに手をかける。
「藤原さんの、していいかな…」
俺の頭はもう真っ白で、喉だけが変な音を立てた。
現れた俺のモノを見て、俺を見上げて微笑んだ。
「しても、いいですか?」
俺、言葉が出たんだっけ…
定かじゃないまま、泉堂は唇をそれに被せた。
「っっ…あ…っっ…せ、んど…さ……」
熱い舌でソレを擦られて、上下にされて…