また夕暮れの街を眺めながら、
初めてこの部屋に来た時とはまるで違う気分で、わたしは御ノ瀬くんと向き合っていた。
「以上が結果だよ。わたしが望んだ通りになった…!」
御ノ瀬くんは、静かに頷いた。
「サヤ、まだキミの抱えてる問題があるんじゃない?」
「……お義父さんのこと?」
また彼は静かに頷いた。
「キミの抱えてる問題が、今この学校周辺の中で優先度が一番高いんだ」
言葉を咀嚼し、意味を理解し、ククッと、
わたしは笑ってしまった。
この平和な街の中で、わたしが一番卑屈になり、一番意気消沈している。
そういうことか。
「御ノ瀬くん、お義父さんの問題はどうやって解決するつもり?」
「……言ったろ?俺が直接やるわけじゃない。どうなるかは要請してみないと分からないんだ」
わたしは御ノ瀬くんに抱きついた。
「嘘。あんなに素敵なやり方、誰も思い付かない…!…………もっと、してよ」
「サヤ……どうなるかは…」
御ノ瀬くんは、不思議な雰囲気を出しているけど、やっぱり男の子だった。
少し、脚の間を撫でてあげると、だんだんとズボンの感触が堅いものになってきた。
「サヤ…………やめよう…。俺はそういうつもりで、キミを住まわせているわけじゃない」
「いいの……。…わたしが……したいんだから」
イスからフローリングに倒れ込んだ御ノ瀬くんは、わたしを救った頼れるヒーロー、
という顔ではなかった。
いたいけな、ごく普通の男子高校生。
その表情が、たまらなく愛しかった。