「原島に、聞いた…」
そっと腕に手を延ばす
「…っ!」
シャツを捲りあげようとすると
反射的に、佐木がそれを制止した
「何…」
「…その反応じゃ、もうこれが"傷"だって…分かってんだろ…?」
「…っ」
痛みを愛情と思い込むことで救われるんだとしても
それには限界がある。
頭で分かっていても
気付かない"フリ"をしていたんだろ
後遺症として同じ錯覚を起こしても
「…っお願いだから…触らないで…」
「嫌だ」
狂気を愛と思い込んでいた佐木にとって
きっとこれは誤算だった
俺が佐木を好きになってしまった事。
「くろか…っんぅ」
誰かを守ってあげたいとか
支えてやりたいとか
初めて思った。
これ以上なく愛してやりたい。
だから…
「逃げんな、佐木…」
「ん…っヤメ…」
今度は俺が。