「…っ」
「…佐木?」
握力を無くしたように佐木の手から手紙がこぼれ落ちた
俺はそれを拾い上げ
確認する
「…」
ちらりと写真を確認した。
赤子を抱く綺麗な顔をしたその女性は
佐木によく似ている
「…それ、お前じゃないか?」
分かったんだろう
その写真と
この短い手紙の言葉だけで
本当は今でも
「ずっと、お前が愛しくて
堪らなかったんだな…」
佐木は声を上げて
泣いた。
今なら痛いくらい
こいつの気持ちが分かる
無防備に泣く佐木を俺はただ抱き締めた
俺まで泣きそうになったから
「お前ー、実は泣き虫だろ」
布団に散らばった手紙には
"ごめんなさい
愛してる"
と書かれていた。