「私…わかんない…」「…」
お前の言いたい事と違うかも知れないけど、今ボクもそう言おうと思ってた…
ボクは恐る恐るだけど、アサミをそっと抱き締めた。
「アサミ…」
「…」
このタイミング、ズレてなきゃいいけど…
兄妹なのに…なんか苦しい…アサミに恋してるんだろうか…こんなヤツに…まさか…妹だぞ?
アサミは何も言ってくれない。きっとボクの一人よがりだ…
「ごめん…」
ボクはその手を放してアサミを解放した。
「…彼氏…どんな人?」取って付けたような作り笑いだろうな…
アサミは弱く微笑んでボクを見る。
「彼氏…かどうか…」「付き合ってるんだろ?」
「やっぱり…帰る」
ええ?
あたふたしてるかも知れない。なんだ、みっともない…でも…
「もうちょっと…いてくれよ…」
「…どうして?」
「…わからん。帰るなよ」
「…何よ、それ…」
「…ごめん…」
アサミは拍子抜けして笑った。
「変なの…」
「…」
少し沈黙…アサミは残りのコーヒーを飲みに座った。ボクは妹を眺めてほんの少し幸せな気分だった。