校門を出てすぐ、晃に呼び止められた。
私と晃の付き合いは3ヶ月目に入っている。
高校1年生になったばかりの春に、まあ、お互いひと目ぼれといったところか。
晃は身長175?、やせて少し猫背で、サラサラ髪を肩まで伸ばしている。
眉の手入れもチャンとしていて、爽やかな印象。
「ジュン、どうしたんだよ? メールもくんないしよぉ」
晃は手を伸ばす…それは手を繋ぐ為ではなく、私のカバンを持ってくれる為。
私はカバンを手渡しながら「ありがとう、ごめんね…」と笑ってごまかした。
晃とはよくウィンドウショッピングする。今日も横浜でソフトクリームをなめながら、
雑貨売り場、本屋あたりを私たちはぶらぶらと歩いた。
「ジュン、俺といてつまんないか? ヒトの話し、聞いてねえみたいだし…」
私は確かに上の空で歩いていた。晃と歩いているという実感がなかった。
「そんなことないよ〜」
私は晃の手を握ってブラブラしてみせた。晃は目を輝かせてちょっと驚く。
待てよ、今まで私からこういう行動をとったことなかったかも。
「ジュン、…抱きたいって言ったら、怒る?」
色白の晃の頬がピンク色に染まっている。
晃の部屋は二階。
階下はレストランで、両親が一日中、忙しそうに働いている。
だから、彼の部屋で、寛げると思うのは大きな間違いで、
私が晃の部屋へ遊びに行くと、母親が、1時間おきには
何だかんだといっては顔を出す。
そんな訳で、私たちはまだ、キスから一歩も進んでいない。
しかし、今日の晃は部屋に入るなり、内側から鍵をかけた。
私は制服姿のまま、突っ立っていた。
「散らかっているけど、まあ、座れよ」
晃がブレザーを脱ぎ、ワイシャツ一枚になり、ネクタイもゆるめ出した。
私は晃のベッドに腰を掛けて、彼の後ろ姿を見るともなしに見ていた。