コンコン☆
「祥太?私よ。光」
カチャッ
祥太は扉を開け、ニッコリと微笑んだ。
「待ってましたよ。光お嬢様?」
祥太の横をすり抜け、光はソファに腰掛けた。
「まったく…祥太?一応幼馴染みなんだからタメ口で良いって言ったのに…二人の時くらいは良いじゃない」
呆れ口調で光が言うと、祥太は切なそうな顔をして光を見つめた。
「…いつまでも私は光の幼馴染みなんですか…?私は…あなたと会った時からずっと…」
光は気付いていた。
祥太が自分を見てくれている事を。
祥太は可哀相…あの日祥太に話しかけなければ、祥太は無理矢理この腐った家に連れて来られる事は無かったのに…。
「光…?」
ハッ…
「ごめん…祥太」
「まだダメですか…」
祥太は寂しそうに笑った。
「あ…っそう言えば大切な話って??」
光はワザとらしく話を逸らした。
「あぁ…それが…ご主人様が光にお見合いをさせると…」
「!お見合い…」
「はい。なんとも井口会社の御曹司とか…」
お父様は何を考えているのだろう…まぁどうせ金のことしか考えてないんだろうけど。
「…されるんですか?」
その瞬間、光は不思議な気持ちに気付いた。
いつもは、お父様の意見に背いたことなんて無かった。
お見合いだって何度かしたし…
なんで…私は優貴の事を考えているんだろう。
嫌だ…嫌だ。
『俺を感じて』
優貴じゃないと…嫌…