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月夜?

闇卯  2006-07-13投稿
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「静夜お前ルナ様を追い詰めて……どうしたんだ?」

十希が険しい面持ちで、静夜の自室に訪れていた。

「…」
「──……お前…ルナ様を…愛してるんだろ?一人の女性として…」
「十希…」
「俺のせいで…俺の気持ちを知ったからお前は自分の心を偽り、ルナ様を妹に思おうと思ったんだろ?」

静夜は肯定も否定もせず黙る。

「ルナ様がナイフで手を切ったんだ」
「なっ!!」
「静夜…お前ルナ様をどうしたいんだ?」

静夜はうつ向く。

「俺は……ルナが好きだ。傍にいて欲しい。でも……父さんはルナを玩具として扱えと言う。…将来はルナ以外の女と結婚するだろうな」
「静夜…」
「十希……俺はどうして愛する者の傍にいれないんだろ?妹華夜もルナも……誰一人守れない…」





静寂な夜。
月は変わらず、美しい。

「──……」

ルナは窓辺に立ち、月を見上げ、毎夜訪れる静夜を待っていた。
ガチャ
ドアが開いた。

「──……十希?」

ルナの部屋に、静夜では無く、十希が訪れた。

「どうしたの…?」

十希はルナに、悲しげに微笑むと、ルナの肩に手を置き、顔を近付けた。

「十…希…?」

十希は顔をルナに近付け、ルナの唇に触れるか触れないかでピタッと止まった。
唇に触れる手前で止まり、十希は顔を上げる。

「ルナ様……あなたは少しも汚れていない。どうか…幸せになって下さい」

ルナの手をとり、手首の傷に口付けを交すと一礼し、十希は部屋から去ろうとした。

「十希!待って!どうかしたの?」

様子のおかしい十希を心配するルナ。
十希は振り返り、満面の笑顔を見せた。

「ルナ様…あなたに会えて良かった。……静夜を頼みます」

今まで見た事無い清々しい十希の笑顔を見て、ルナが少し動揺する。

「十希…?」

十希は再度一礼し、部屋から去った。
ルナは呆然と十希を見送った。





書斎。

「誰だ?」
「失礼します。旦那様」
「十希か…何の用だ?」

十希は一礼すると、静夜の父で、十希の主でもある屋敷の当主に歩き寄り、傍に立った。

「十…希…お…まえ」
「あなたは…静夜にもルナ様にも…邪魔な方…死んで下さい」

十希は隠し持っていたナイフで、静夜の父の心臓を刺した。

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