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桃 ?

 2006-07-27投稿
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帰りの車の中では二人とも無言だった。
ただ信号待ちでは、俺はキスしにいった。
「若いのね。ステキよ」流し目で桃子さんは言う。
「俺だけにしてくれませんか?」
「……」
「智也とはしないでくれませんか?」
フフフ…と笑う、桃子さん。
「約束してください…」
桃子さんは、行き止まりの道で急ブレーキを掛けた。
夕暮で辺りはやや薄暗くなってきている。
「つまらない事言わないでよ」いつになく強い口調で桃子さんは言った。
「陸君がそんな程度なんて思いたくないわ」
「俺は桃子さんが…桃子さんが好きだから…独占欲というか…」
しどろもどろの俺の口調は、尻つぼみになる。
「好きなんて言うのはやめてよ。そんなの重いし望んでない」
好きという俺のこの気持ちが重いと…では、桃子さんは俺の事が
好きではないのか…好きではないのに、あんな行為を俺たちは…。
「私はね、抱いて欲しい時に抱いて欲しいの、それだけの事よ」
「桃子さん…」それじゃあ、虚しくないんですか…とは言えない。
「見て、夕焼けが綺麗ね」微笑む桃子さんの横顔が美しい。
「綺麗ですね」と俺は彼女と同じ空を見上げる。

車の中で、又、桃子さんを食べてしまった。
桃子さんも俺を食べつくしてくれた。
桃子さんの茂みに顔を突っ込み、アソコを舌で弄っている時に
彼女は喘ぎながら言った。
「私ね、もうすぐ死ぬの。手術したくないわ。だから、死ぬのよ」
俺は今一度、桃子さんの顔を見た。
桃子さんは目に涙を溜めて、それでも微笑んでいた。
驚いた俺は、病名を聞くことが出来ない。
何もできずに、桃子さんの胸の中でただ声を上げて泣いた。

「まだ残された時間はあるわ。色々楽しいことしましょ」
桃子さんは、うちの50m先で車を止めて俺を降ろした。
家までの帰り道で、もう桃子に会いたくなっている自分がいた。

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