『…光お嬢様!?』
祥太の声で、光は我に返った。
「……祥太…」
『どうしたんですか!?調子悪いんですかっ!?急いで部屋に…』
ギュ…
祥太の手を握る。
『……光お嬢様…』
「祥太なんで?なんで私なんか…好きになっちゃったの?無駄よ!そんな…そんなもの!」
恋なんて…愛なんて…邪魔。そう確かに思っていたはずなのに。
『私は…光が好きです。何を言われようと変わりません』
「やめて…やめてよ!もう…やめてよぉ…」
ボロボロと涙をこぼす光を、祥太は優しく抱き締めた。
「離して……」
『光…好きです』
「祥太やめて…もうお願いだから私を見ないで!」
『上野優貴ですか?』
ドキッ!
なぜ…祥太が優貴の事を知ってるの…!?
「な…んで…」
手が小刻みに震える。
『昨日からです。光の様子がおかしいのは…。上野優貴のせいですね?』
そう言うと祥太は、繋いだ手を離すと立ち上がった。
「ど…どこへ行くの?」
『アイツをぶん殴って来ますから待ってて下さい』
「!」
歩こうとする祥太の腕を掴み、光は首を横にふった。
「嫌…嫌…」
『なんで!俺よりアイツなんですか!こんなに好きなのに…』
痛いくらいわかるよ。
祥太。
ゴメン…ゴメンね。
「あたしは…優貴が好き…好きなの…」
もう一度、手を握る。
『…はぁ…』
祥太は手を光の離すと、顔を歪めた。
『聞かなきゃ良かった…そうしたらあなたを諦める理由なんて無くなるのに』
ゆっくりと、ゆっくりと去って行く祥太。
もう…祥太の笑顔は見れないのかな。
私のせいで…?
「…優貴…」
光はそうつぶやくと走り出した。
突然会いたくなったのは何故だろう。
こんなにも…優貴…
「はぁっはぁ…っ。優…貴…優貴…」
ドアノブをゆっくりとさげる。
ガチャ…