「行ってきます」
母さんから弁当を受け取って、俺達は家を出た。
俺と彬は同じ高校で、俺が3年で彬が2年。
幼稚園から高校までずっと一緒になる。
そしてほとんど毎日一緒に登校している。
隣にある自分より少し低い肩。元々色素の薄い髪は、今は朝日を浴びて更に淡い色を呈している。
少年から青年へと変わる過渡期。
彬は男らしくなったと言うよりも綺麗になった。
学校でも女子の間では人気があるらしい。
昨日も、何処の誰かは知らないが女子から告白を受けていた。
余談だが、俺もそれなりに人気がある。
彬が女だったら迷う事無く自分のものにしていただろうが、如何せん相手は同性。しかも超ご近所。
そう簡単にはいかない。
しかし、あれだけ告白を受けても彬は誰とも付き合わなかった。
今までそういう話題を二人でした事が無かったわけではないけど、あまり深い事は知らない。
彬の心の中には誰かが居るのだろうか…。
「佑兄?なんかあった?ボーッとしちゃって」
また思考に没頭していた所を覗き込まれてドキリとする。
アナタの事を考えてたんですよ。
「別に…」
俺は彬を好きになってから彬に隠し事が多くなった。