「ヤバいモノ見つけた」
放課後。
崇が、そう言ってトイレから出てきた。
「なに?妊娠検査薬?」
「バカか。男便だぞ」
「じゃ、ヤバいのって?」二人で、男子便所に入る。一番奥の個室を覗く。
便器の蓋に置かれたのは、白く丸められた。。。
「白衣?」
崇がそれを掴み、拡げてみせる。
ネームプレート『中谷』。の、下。白くこびりついた物体。
「精子?!」
しかも、白衣のあちこちにそれは付着している。
「オェッ!」
冗談なく、吐き気がした。「単独犯じゃねぇよ、コレじゃ。気の毒」
崇が白衣をよく見せようと私に突き出す。
「ちょっ!やめてよ!キモイ」
ドン引きした。
崇がハァッとため息をついた。
「友里、コレ中谷に返してきてよ」
差し出される。
「はぁ?!イヤ!触りたくもない」
避ける。
「俺が持っていったら誤解されんだろ?停学なったらどうすんだよ」
「中谷先生はオオゴトにしたりしないよ」
「そういう問題じゃねぇだろ?」
崇が白衣を持っていない手で私の肩を引き寄せる。
「わかった。一緒行こう」「えぇっ?」
「共犯者」
「私から精子が出るか!」じゃれながらも、化学室へ向かう。
これが、幕開け。