これ以上何をどうすれば智則を満足させる事ができるのだろうか。
やれる物などもう何も無いと言える程、全てを捧げてきた。
どれだけあげてもきっと智則は渇望するのだろう。
でもそれは自分も同じなのだが。
「智…、好き…だよ…っ」
「貴志…」
智則の首に腕を絡めて告げる拙い告白。
そのままぐいと腕を引き寄せて唇を重ねる。
自分から舌を侵入させて智則を招き入れ、流し込まれる唾液も全て飲み干した。
『全部お前にやるから、俺にもお前をくれ』
キスの中に暗に忍ばせた想いを気付いて欲しい。
智則の腰に足を絡めて奥へと誘い込む。
「ん…んん…っ、あぁっ!」
突然智則に力強く突かれ、耐えきれず唇を離して仰け反りながら喘いだ。
自分の躰をきつく抱き締めて、さっきまでとは打って変わった荒い腰使いで貫かれる。
突き上げられる度に二人分の重みにベッドがギシギシと軋み、繋がった部分からは湿った音が響いていた。
「あっ、あんっ…は…ぅ、ん…っ」
言葉にならない声ばかりが引きずり出される。
激しい抽挿に意識が飛びそうだった。
でもここで意識を無くすわけにはいかない。
智則に渡さなければいけない物があるから。
思わず力の入った指先が智則の背中に傷を作ってしまった。
「あ…あぁっ、智…っ、も…ダメ…っ」
激しく突き上げられ、時に掻き回すように嬲られ快絶の波に襲われる。
痛いほど張り詰めた自身が解放を求めて脈動する。
「俺も…もう、イキそ…」
荒い息の間で智則も限界を訴えた。
先程鏡に越しに見てしまった、智則が絶頂を迎える瞬間の表情が頭の中で蘇る。
苦しそうで、でも凄絶な艶を纏っていて。
震える手で自分を侵し続ける智則の頬に触れる。
もう一度見たい。
そう思った。
「はっ…ぁ、と…智…もっと…っ」
「くっ…貴志…っ」
「もっと強く…、来いよ…っ」
智則の動きに合わせて自らも腰を振った。
『インラン』と言われても構わない。
激しさを増す抽挿に理性など吹っ飛んでいた。
その後の事はあまり覚えていない。
ただただ快楽を求めて、互いの境界線が判らなくなるのではないかと思うほど溶け合った。