トイレから出た僕は、バタバタと洗面場から音がするのを聞きながら、ベッドに座った。
ハア…ハア…ハア…
固く尖ったズボンに、冷たい違和感…
…やがてシャワーの音に変わった。
………
母さんは、さっきの服に着直して出て来た。目が泣きぬれたようになっている。
「帰りましょ…」
「…」
「…気が済んだでしょ?」
「……」
母さんも、少し離れてベッドに座った。
一瞬込み上げる涙を指で拭った。
「…もう…マコト君とは…会わないから…」
もう…マコトなんかどうでも良かった…
「…でも…でも…」
感きわまって言葉が出ない母さん…
僕は母さんのそばに寄った。
「…ごめん…」
母さんはホロッと涙を落とした。
震える肩に手を回した…。
「いいのよ…どうせ…許してはもらえないでしょ…」
僕は母さんを……抱き締めた。母さんはすすり泣いた。震える、か弱い肩…
……母さん…
……唇を重ねたい!
息が荒くなった…
(……)
(…キイチ…?)
(マコトの前では…女だったんだろう?……)
(……)
(答えて…)
(…そ…そうよ)
(…僕の母さんなのに…)
(マコト君は…悪くないのよ…母さんがいけないの…)