コンコン…
こんな時だけノックしやがって…
開けると、盆にドーナツとコーヒー…
「欲しくなかったら私が食べるからね」
なんだよ…焦らす気か?
でもオレも昼飯食ってないから腹は減っていた…
ぱくつくオレを、優しく見つめる美咲…
「一緒に来れば良かったのに…」
「女のショッピングなんか付き合えねぇよ」「あら…」
「どうせ母さんにせがんだんだろう」
「まあね」
「…その服…」
「…?」
「似合ってるよ…」
ニヤリ…
「…可愛い…」
「そぉ?」
「うん」
「…なんか嬉しいな…」
「え?」
「昨日からお兄ちゃんが私のこと…可愛いって言ってくれる…」
「そんなのが嬉しい?」
「そりゃあそうだよ…絶対に言ってくれない存在でしょ?」
「まあね…」
「私ね、これでも結構モテるんだよ」
だろうな…
「オレに言わせて満足か?」
「…もっと言ってほしい…」
はにかみながらオレに肩をぶつける。本当子供みたいなんだから…ストーブで部屋が暑いのか美咲は赤い顔…
「暑いんだろ…脱げよ」
「脱がせてくれるのかな…って待ってた…」