それから毎日、私と秀太郎は抱き合った。どちらかが誘うってわけでもなく、お互いが目を合わせれば唇が重なり合って、裸になって。
「あ…。ここにもあった。」
「そんなとこに…?」
「うん。けっこう大きい。」
秀太郎は最中に私のホクロを見つけては舌で愛撫した。私は妙にそれをいやらしく感じてしまい、ソコを濡らす。
秀太郎の前で私は女だった。
コトを終えると秀太郎の腕の中で、たわいもない話をした。今日何があったかとか、昔の話とか。
「なぁ季吹。」
秀太郎が突然、少し真面目な口調で話しかけてきた。
「何?」
「お母さんに連絡したか?」
秀太郎の言葉にドキッとした。
「してないよ。しなくていいよ。どうせ私は邪魔だと思うし。」
母からの葉書は箱に入ったままだ。
少し間を置いて、秀太郎が口を開いた。
「俺な。両親いないんだよ。」
私は固まってしまった。知らなかった秀太郎の生い立ち。
「俺は羨ましいよ。どんな母親でもさ。」
秀太郎は私に微笑みかけ、軽くキスをした。
秀太郎のこの言葉がなかったら、私は一生母に会うことはなかったかもしれない。
秀太郎は私に大切なことをたくさん教えてくれた。
そして、旅立ちの朝。テーブルにあの花火の夜に撮った写真を置いて、秀太郎は出ていった。私には何も言わず。