「正気じゃないよ、そんなことするヤツ」
僕は急激に彼女を抱き締めたい衝動に駆られたが、彼女の席まで行くだけで抑えることができた。
彼女の近くはほのかに香る香水よりシャンプーの香りがしていて、逆に理性を壊されそうになった。まだ目を見れない。まるで風呂上がりの彼女の近くにいるかの様だった。
「体育行かないの?」
彼女はこちらを見ているようで、当然のことを当たり前のように聞いてきた。
ここで僕はなかなか良い台詞を言えた。
「水森さんほっとけないよ」
本当は水森さんをほうっておけないよ、と言いたかったのだけれど結果オーライだ。
彼女はまた泣き出して「ありがとう」と言ってくれた。
僕は彼女が泣きつかれて眠りにつくまでそばに居た。