授業がやっと半分まできたとき、理沙が身を捩り始めた。
「…っ!!」
端から見れば椅子の座り心地が悪そうにしか見えないのか、誰も反応しない。
「理沙!」
小声で真衣は呼ぶが返事が無い。
耳を澄ますと、微かに振動音がする。
さらに衝撃的なものを真衣は見た。
近くを一瞬通った先生は誰にも見えないように、リモコンを持っていた。
真衣は先生を止めようとしたが、理沙がメモ書きを渡してきた。
“私たちがこの事を昼間の学校で言ったら、映像が全校に流されるって山内に”
要は逆らえないということだ。
真衣は恐怖より怒りが強かったが、理沙を助けてあげるすべが無かった。
「ぅ……っふ……!!」
理沙は涙目で真衣を振り返って、笑った。
そして。
もう一度先生が通り過ぎた瞬間、振動音が一番強くなった。
「!!!!だめ…あああああ!!!」
ガタガタっと音を立て、理沙は崩れ落ちた。
教室中がざわめいた。