涼香の家に着くと、そこから先は涼も有無も言わず席に着くしかなかった。
涼香の家に涼の両親がいる。
涼の父親は出張から帰って来たばかりのようで、疲れているように見える。
母親は、泣いている。
涼香の家は母子家庭だった。
涼香の母親も泣いていた。
どういう状況なのか涼はもはや到底、理解出来なかった。
意外にも切り出したのは涼香だった。
「涼…いきなりこういうの、ごめんね」
「い…いや、それより母さんもおばさんもなんで泣いてるのか……スズも」
「涼………私たち、私たち家族になるの」
「え?」
涼の母親が切り出した。
「涼、あなたの本当の家族は私じゃない。本当の家族は目の前の三人だよ」
よく分からなかった。
それが涼の正直な感想だ。
「あのね涼…母さんと涼は……血はつながってない」
「母さんと…?」
「目の前にいる涼香ちゃんのお母さんが、涼の本当のお母さんだよ」
スズの母親が…俺の母親…。
だとしたら。
最後に父親が言った。
「涼香ちゃんも涼も、俺と針谷さんとの間に出来た、姉弟だ」
「姉弟…………」