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それでも愛したい 10

 2008-02-14投稿
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苗字もクラスもなにひとつ変わらない。
自宅が涼香の家になるってだけだ。
母親のことは、割り切った。

だが……。


「おやすみ……」


「スズ…」


暗がりの中声が行き交う。

涼の分のベッドがまだ引っ越し中だったため、やむを得ず二人は一緒に寝ていた。

「なぁスズ…」

「…ん、なに?」

「俺たちって、付き合ってるよな…」

しばらく涼香は黙ってしまったが、意を決したようにため息を洩らした。
涼の方を向いた涼香はまた泣きそうになっていた。

「私ね…お父……さんと、お母さんにはまだ……隠してるの」

涼香は死に別れる前のような痛々しい瞳で見つめ、優しく涼の頬を手で包んだ。


「……涼は、私のこと好き?」

「この前言ったろ。俺たち、お互いもっと好きになれるって」

涼香の目から一粒、涙がおちた。

「そっか……」

涼香は涼に優しくキスをして、また何度も味わうようにキスした。

「…涼……!……あのね……近親…相姦…て言うの……!…姉弟で、そういうことは……ダメなんだよ………」

泣き漏れる声が静かに響く。

「わ…わかってるって……そういうことは我慢する…だけど、この関係だけは……」


またキスが施される。


「今夜で終わろう、私たち」


「嫌だ」

「お互いもっと好きになってしまったら、求めるだけになるんだよ…?そんなの…そんなのって悲しいよ?」

切ない涼の瞳から逃げるように涼香は涼の体をきつく抱き締めた。

「お願い……!!カラダを求めることだけはしないで……!悲しすぎるよ…涼」

「スズ……」

涼から漏れる吐息が涼香を狂わせる。
ここで自分がしっかりせねば。取り返しがつかなくなる。

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