「今日からお前は私のおもちゃだ。あいつに幾ら愛を注がれても、その内、お前は私でしか満足しなくなる」
薄れゆく意識………。
これが夢ならどんなに良いだろう。
涼になんか話したらどうなるか…………。
「……!スズ…!……スズ!」
涼の声。
不意に目を開けると涼が視界に入った。
「何もう寝てんだ?友だちん家がダメになったから帰って来たんだ。制服のまま寝たのか」
「……涼!」
思わず泣いて抱きついてしまった。
「どうした…………何かあった?」
優しく涼香の頭を撫でながら涼は不思議そうに聞いた。
「………んーん。なんでもないの……ちょっと…怖い夢を見ただけ」
「そっか」
涼香は自分が心底震えているのが分かりながら、どうすることも出来なかった。
その日は涼のそばから絶対に離れたくなかった。
抱きついたまま眠った。
涼の心臓の音が聴こえる。
「スズ、俺さ…いつかちゃんとした社会人になれたら、離縁しようと思う」
「離縁……」
「そんで、この家の涼香って名前の女の子に、嫁さんになってくれって、伝えに来る」
「涼、ありがとう!嬉しい」
「絶対、結婚しような」
二人は笑い合って、おやすみとキスをして眠りについた。