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新入り! 2

 2008-04-09投稿
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「おかしいわねー。灯りは点いてるんだけどー」

お母さんは相変わらず延ばし口調で耳障りだ。
どうやら呼んでも出てこないらしい。

「ケータイは?お母さんの友だちでしょ?」

「それがねー。今はちょっと仕事でいないらしくて、代わりに息子さんがいるらしいのー」

こういうテキトーな母親の友だちもまた、テキトーなんだなと思った。
離婚の原因はこちらにもあったのかもしれない。

その時、ガタガタと戸が開いて私とお姉ちゃんは驚いた。

まったくこの土地、この家には似合わない、都会にいた若々しい格好の男性が出てきた。
ちょっと年上に見えなくもない。

「えっと、悦子(エツコ)さん?」

どうやらお母さんの名前しか聞かされていないらしい。
まだ私たちにすら気づいていない。

「ごめんなさいねーいきなり。私たち今日からご厄介になる新堂(シンドウ)と申しますー。あ、娘たちです」

慌ててお姉ちゃんが私を前に寄越す。
なに照れてるのと突っ込む間もなく頭をぐいっと下げさせられ、私は腹立たしかった。

「新堂瑞穂です!こっちは妹の雪帆。双子です!」

「よ、よろしくお願いします…」

私はしぶしぶ挨拶をした。
顔を上げると彼はにっこり笑っていた。

(なにこの営業スマイル…)

私は出会って一分で彼に嫌悪感を抱いた。



お母さんはテキトー。
お姉ちゃんは頼りにはなるけど、ほとんど口ばっか。
二人は早々に案内された部屋で眠ってしまった。

私は喉が渇いたので、台所に降りて水をもらうことにした。


「…おいしい」

何故か水道水がおいしく感じてしまうのだから田舎は恐ろしい。

「山からひいてる水だから」

突然声をかけられた。
私はグラスを取りこぼしそうになった。

「ん〜〜〜っと。雪帆ちゃん?」

「は…はひ!」

声が裏返る。無理もない。
真っ暗な台所に出会ったばかりの男と二人きり。
昨日まで中学生の子供には多少、恐怖すら覚える。

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