あ〜自己嫌悪…。
授業中だというのにまったく身に入らず(まあ入ったことはないが)頭はさっきの事でいっぱいだった。
あの冷たい手が自分の頬に触れた瞬間、何かが自分の中で弾けて飛んだのだ…まさにショート。
初恋は、香奈ちゃん…小学生んときだろ?
で、去年は勇人の姉ちゃんに失恋して…。結婚しちゃったから仕方ねぇし…てか、なんで男?
男子高で「そういう事」だけはなりたくないと思っていたのに…。
付属の高校の先輩に、変な絡まれ方をされた時もあれば、後輩に告られたこともある。
その時、感じたのは嫌悪感しかなく…男同士という関係は有り得ない…はずだった。
なのに。
月城 零。
まさにあいつに相応しい冷たい名前。
氷の笑顔。
凛とした声。
すべてが、すべてに、
心ひかれている。
性的に惹かれている…?確かに触れられた時、今までの恋にはなかった衝動が、突き抜けた。
抱きしめられたい
キスされたい
…とか。
うわっ!!
俺、変態?
「ちょっと」
へこむ寸前、声をかけられた。
気がつくと授業は終わっていた。
目の前にいるのは…
高橋 涼だ。
委員長がなんだろ?
「話、あるんだ」
勇人がチラッと窺い、日向は大丈夫、というように頷いた。
「なんだよ」
「…あのさ…僕、屋上で見ちゃったんだけど」
!!!
まじかよ!!
「あれって…そーゆー関係って事?」
「ばっ…馬鹿、違う!ただ俺が熱っぽ」「なんだ…違うの?良かった♪」
え?
なんで?
涼はカワイイ顔で(子犬みたいだ、と日向は思う…)ニコッとした。
「そうだよね、日向君ってそういうタイプじゃないもん。良かった…僕、月城先生…オトしたいんだ」
オト…おとしたい、だとお?
「僕、ああいうタイプ、弱いんだ。なんかもうどうにでもしてほしくなるってゆうか…」
うっとりと語る涼を呆然と見つめた。
やばい。
こいつとライバルになるっつーのか?