子供はいらないという。
夫婦別々で外泊をしようという。
要は一人になりたいという事だろう。
啓一は真由子から言ってくるまで行為には及ばないつもりだし、真由子も子供はいらないというのだから、その日は何事もなく終わった。
しかし、遊園地に来たことは真由子にはとても運が良かった。外泊のことを切り出せたからだ。
啓一は真由子の本当の部分をまだ知らなかった。
それを悟られずに切り出せた。
翌日には真由子は旅行に出て行った。
真由子の眼前には大きな旅館が聳え立っていた。
同行者などいなかった。
出迎えたのは男ばかりの従業員だった。
真由子は嬉しそうに案内されていった。
着いたのは畳張りの大宴会場だった。
そこで真由子は浴衣に着替えた。
ピンク色の明るい浴衣でところどころ黄色い流線が施されていた。
しばらくすると真由子を囲むように、10人ほど男たちが入ってきた。
その輪は、20人になり、30人近くなり…。
一番奥のステージで司会らしき男が喋った。
「今日お集まり頂いた皆様は最低1泊される方々です。宴会マスコットにエントリーしてくれたマユちゃんと遊びたい方は大宴会場へ!なお、ご鑑賞も可能でございます。」
アナウンス後、40人、50人と男が増え、真由子が見える360゜全てが男で埋まる頃には、100人近くになっていた。