その日の夜、佳織から電話があった。理由が聞きたい、と。
俺は、本当のことが言えなかった。
「お前のこと、ほんとに大切な・・その、
・・親友だと思ってるんだ・・・。だから・・・・」
『だから』といったものの、その先は何も思いつかない。
受話器のむこうから、佳織の泣き声が聞える。
「・・・ごめん・・。」
「・・・・・謝らなくていいよ、私こそごめん・・・」
「・・・明日から、普通に喋ってくれよ。」
「うん・・・」
電話を切った後、俺は泣いた。女っぽい行為かもしれないが、
佳織と一緒にゲームセンターで取ったぬいぐるみを抱きながら泣いた。
涙が枯れるまで泣いたと思う。
もうカーテンのすきまからは朝の光が差し込んでいたし、
新聞配達の単車の音も聞えてきた。
その日、俺は学校を休んだ。泣きすぎて酷い顔をしていたからだ。
ぎこちない感じこそあったものの、
日に日に佳織は以前の佳織に戻っていった。
俺も、少しずつ以前と同じように接することができた。
それからは何も無く、俺達は同じ高校に進学した。
少し距離があるが、いじめから開放されるために
俺は遠くの高校に行きたかった。
佳織は将来の夢をかなえるために、その高校を選択したらしい。
入学式、俺達は全然くたびれていない制服を着て登校した。
「―――あ、同じクラスじゃん」
「ほんとだね、クサレ縁?(笑)」
「そうとしか言いようがないな・・・」
そんなことをブツクサいいながら、同じ教室に入る。
周りの奴と絡もうともせず、俺達は好きなアーティストについて盛り上がった。
※2ちゃんねる