「なんかアレだなぁ、バレンタインは結構いろんなことあったよなあ」
「そうだね〜!」
「中2の頃は・・・泣きながら食ってたんだよなあ、チョコ」
「へぇ、そうなんだ」
「んで中3のときはもらえなくて凹んで・・・・」
「賢ちゃんがフったからでしょ。」
「うぅ・・・そうなんだが」
「高1も高2も、義理っていうかー、買ったやつだっただろ?」
「あ〜あれね、だって、迷惑かな〜って思ったんだよ」
「うむ・・・・」
「で、3年の受験勉強真っ只中に・・・」
「あはは、そうだったね〜」
こんな話をしていたと思う。
俺達は、バレンタインになるといつもこのことを思い出しては、話す。
そして佳織から貰うものは、決まってあのチョコだ。
・・・今は子供が手伝うので、綺麗な四角ではないが。
「おまえなあ、もうちょっと綺麗に切れよ!」
「だって包丁こわいんだもん!!」
「はぁ〜っ!?こわいっておまえ、おかーさんのほうが
よっぽどこわいだろうが・・・・あだっ!!!」
バスケットボールを俺に投げつけたのは、娘ではなく佳織だった。
「お父さん!」
「す、すいません・・・」
「わ〜、パパ怒られてる〜」
「お前らは黙ってろ!!」
『お前ら』っていうのは、俺達は2つの命を授かったからだ。
2卵生双生児で、男と女が1人ずつ。
娘のほうは佳織によく似て生意気で強く、顔も昔の佳織にそっくりだ。
息子は俺によく似ている、と、佳織は言う。
まあ、多分、娘は佳織に似て料理が好きだし、良い嫁さんになってくれることだろう。
子供2人ともバスケが大好きで、休日といえば俺達4人でバスケをしに出かけた。
※2ちゃんねる