彼は首まで布団を被って、素知らぬ顔を決め込む…
パラ… パラ…
また……
微妙だが、確かに冷気が彼女の膝に感じられた。
…布団をめくっている…?
涼子は確信した…
この子…
覗いてる…
母親なんかの下半身を……
あれほど夫婦で注意したのに…
あれほど夫婦の絆が硬いことを見せつけたのに…
息子が一体何を考えてるのか…涼子には充分理解できていた…
こんな母親とは言え、手の届かないものに切ないため息を漏らす息子を思うと、涼子は胸が締め付けられた。
最愛の息子…その切ない思いをなんとかしてやりたい…
でも、自分は母親…
「裕之…寒い…」
涼子はさり気なく呟いて、当たり障りなく注意した。
裕之はまた素知らぬ顔…
「ねっ転がらないで、ちゃんと座りなさい」
上気した息子は、座り直した。
潤んだ目が、生々しくて、涼子は目をそらした。
もしかすると、あらぬ行為に及んでいたのかも知れない…
などとあるはずもないことを妄想した涼子は、なぜか胸が高まってしまう…
この子ならしかねない…