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家族愛 29

ザクロ  2008-12-28投稿
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彼は首まで布団を被って、素知らぬ顔を決め込む…

パラ… パラ…

また……

微妙だが、確かに冷気が彼女の膝に感じられた。

…布団をめくっている…?

涼子は確信した…

この子…
覗いてる…
母親なんかの下半身を……

あれほど夫婦で注意したのに…
あれほど夫婦の絆が硬いことを見せつけたのに…

息子が一体何を考えてるのか…涼子には充分理解できていた…

こんな母親とは言え、手の届かないものに切ないため息を漏らす息子を思うと、涼子は胸が締め付けられた。

最愛の息子…その切ない思いをなんとかしてやりたい…

でも、自分は母親…

「裕之…寒い…」

涼子はさり気なく呟いて、当たり障りなく注意した。

裕之はまた素知らぬ顔…

「ねっ転がらないで、ちゃんと座りなさい」

上気した息子は、座り直した。

潤んだ目が、生々しくて、涼子は目をそらした。

もしかすると、あらぬ行為に及んでいたのかも知れない…
などとあるはずもないことを妄想した涼子は、なぜか胸が高まってしまう…

この子ならしかねない…



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