裕之は不自然なほどジッと自分を見ている…
首筋や胸元に…視線が突き刺さる…
彼は…両手をコタツに入れたままだった。
口惜しいのか、下唇をほんの少し噛んでいる…
些細な表情の変化だが…涼子には何となくわかった…
微妙に…腕が動いている…
深く潤んでくる息子の瞳…
変だ…
まさか…本当に…コタツの中で?
確かに裕之なら…
だけど…
そんなこと…恥ずかし過ぎる…
涼子は動悸が激しくなった…
思い過ごしかも知れないのに、涼子はうろたえた…
なんとかしなければ…
しかしここから離れる気にはならない自分がいる…
(どうしたのよ…そんなに…見ないでちょうだい…)
精一杯の言葉がそれだった。
(見るだけなら…いいでしょ?)
その言葉には、自分への思いを禁じられて悶える、やるせない気持ちが込められていた。
部屋は静かだ…
今は雨の音しか聞こえない…
(…きれいだね…母さんは…)
涼子は何も喉から発することができない…
裕之の視線には…はっきりと自分に対する欲情が見て取れた。
ギラギラした目…