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家族愛 35

ザクロ  2008-12-30投稿
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母親に皮肉られて、慌てて視線をそらしたが、またすぐに涼子を眺める始末…
さすがに、夕方までこの沈黙は耐えがたい。

裕之は頬杖をついてうっとりと自分を見つめてる…

「一日中そうやって母さんを見てるつもり?」

あからさまに言われると、裕之は恥ずかしくて赤くなった。

生意気な息子もこんな表情は可愛らしかった。

思わずニコリと笑顔が漏れてしまう。

「変な子ね、まったく…」

母親の笑顔が…裕之は大好きだった。

「さ、若い子が一日中コタツに入ってちゃダメよ」

「だって、雨だし…」

「ンフ、まあそうね…」

今朝部屋干しした洗濯物…
薄手のものだけ涼子はたたみ始めた。
膝の上で手際よくたたむさまを裕之はまたねっ転がって見てる…

彼が見ているのは母親の膝…
もう涼子は何も言わなかった。

時々彼を見ると、慌てて視線をそらし、またしばらくすると見ている。そのやりとりを何度も繰り返して、何度となく目が合った。

孝行も真弓もいない二人きりの時間…
涼子は…朝にも増して胸騒ぎを覚えた…

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