母親は膝を進めた。
身動きさえできない息子の髪の毛を撫で上げた。
瞳の美しい息子だった…
裕之がにわかに目を潤ませた。わかって欲しいと言いたげだった。
(……一日中そんなこと考えてるの?……)
髪の毛を撫でていた手のひらは、火照った頬を撫で始めた…
(ごめん…なさい…)
母親の手は胸板を撫で始めた。手のひらの温かさに、裕之は幸せそうなため息を漏らした…
(…バカ…)
涼子は…ドクドクと胸が騒ぐのを感じた…
コタツに腹まで入った息子に…添い寝するようにして…涼子も布団に入った。
胸板を撫で回しながら、涼子は潤んだ目で上から息子を見つめた…
母の指先が…悩ましく胸を撫で回す…
裕之はドキドキして…呼吸がおかしくなりそうだった。
美しい母親の瞳が、自分をまっすぐに…
深い愛と得体の知れない凄みに圧倒されて、動けない…
手のひらは…
時間が止まったような沈黙…
身動ぎもしない状態で…涼子の手だけが、裕之の上半身を降りてゆく…
何もできないまま、母の手がコタツ布団の中に侵入するのを感じていた…