父親と娘、母親と息子…
彼らはそれぞれ罪悪感にさいなまれた。
娘の制止を振り切って体を奪った父親。
一瞬とはいえ、父親の性器に我を忘れた娘。
いじらしい自分への思いに負けて、自分から息子を誘惑してしまった母親。
父親に禁じられたはずなのに、母親と通じてしまった息子…
彼らは後悔もしていた。
血の繋がった家族。絶対にしてはならないこと…
二度と同じことはすまい、と誰もが一度決意した。
しかし、一度通じてしまうと、その決意は割と脆いものだ。
「あら、もうこんな時間…早くしないと遅れるわよ」
茶碗を片付ける涼子は真弓を急かした。
バタバタと玄関に向かう孝行。
「今日は遅いの?」
「いや、いつも通りだと思うよ。」
「そう、行ってらっしゃい」
と言う側から真弓も靴を履きに飛んで来た。
「行って来まぁす!」
いつもの朝…
戦場が一気に静かになった…
「あの子ったら、まだ寝てんのかしら…」
涼子は腕まくりをして、二階へ…
「裕之、そろそろ起きなさい、何時だと思ってんの?」