何を言うべきか…
孝行は考えた…
あれほど言って聞かせた息子…
ぶん殴ってやりたいのは山々だ。しかし、涼子が同意の禁忌…
しかも…彼自信真弓と同じことを…
(私が悪いのよ…)
問詰めることはできる。しかし彼にもその資格はない…
とにかく、孝行はまだ仕事中だ。
「…改めてもう一度話そう…」
三人は静かにうなづき合った…
孝行は仕事の予定を変えて早めに帰宅することにした。
3時半…
コタツに入った三人は、コーヒーを飲み終えようとしているのに、何も言えないままだった。
さっき青ざめた涼子はいくらか顔色を戻していた…
ため息をつきながら、孝行は切り出した。
「まず…母さんと話す…いいか?」
裕之は孝行の目を見ることができない…ただ静かにうなづいて、二階の部屋にひきかえすことにした…
沈黙はなかなか埋まらない。
孝行はため息ばかり、涼子はうなだれて指先ばかりいじりまわしていた。
(もう…おしまいだわ…)
絶望から抜け出せず、涼子は呟いた。
(あの時の…やっぱりまずかったのか…)