翌日…
ひと晩でも時間がたてば昨日よりマシだったが、三人が会話を弾ませる事など無理だった。
しかし、朝食の時には、少ないながらもいくつかの言葉を交わした。
九時
真弓が帰って来た。
「朝帰りか、不良娘め」
冗談に元気がない、と真弓は思った。
「何かあった?」
敏感な子だ。
「何って?何もないよ」
しらばっくれる孝行は一方で娘とのことを考えている。
同罪だ。涼子と同じことをしてるのに、自分は彼女に辛くあたった。
後悔と自己嫌悪。
孝行は娘の部屋をたずねた。
「ちょっといいか?」
改まった口調に真弓は招入れる。
真面目な表情の父をほころばせようとした。
「変なことしちゃダメだよ」
孝行は苦笑した。
「実は…」
静かだった…
裕之は寝室のベッドで天井を見つめていた。
涼子は洗濯機の渦をもう何分も見つめている…
真弓はただボンヤリとベッドの縁を眺めていた。
孝行はそんな娘を見つめている…
「信じられない…」
それしか口から出て来なかった。