ベランダの洗濯物を見に来た涼子…
部屋から見ている裕之…
涼子は何度か視線を合わせたが力なく微笑むだけ。
裕之はため息をついた。
「どうしたの?」
部屋に彼の洗濯物を取り込み、座った。
今は裕之といた方が気持ちが軽い。
「やめなきゃ…ダメ?」
涼子も答えられなかった。
「ボク、母さんとのこと…忘れられないよ。無理だよ…」
涼子は洗濯物をたたみながら、困った顔をしている。
「母さんが父さんを愛してるなんて、当たり前だ。ボクは夫婦の邪魔なんかするつもりはないんだよ」
ドアの外では通り掛かった孝行が聞き耳を立てていた。
「ただ…母さんが…欲しいだけなんだ…」
裕之は座った母親の後ろから腕を回した。
(やめなさい…あんな話があったばかりなのに)
(イヤだ…母さん)
裕之の手のひらは母の胸を包んだ。
(ああ…柔らかい…母さん)
(ダメ…)
真弓がリビングから上がって来た。孝行の様子を見て近寄る。
孝行はシーッと指を口に持って来た。
あ…あ…裕之…ちょっとダメ…あん…だめだったらぁ