「…寄るな…」
「なんで?」
後ずさりをする俺にこの男はじりじりと寄ってくる
「俺はホモじゃない」
「それ理由?」
「…!」
とん。と
気がつけば壁に追いつめられていた
背中には堅いコンクリート
目の前にデカい男
やばい。
「野原ー。それ理由になってないでしょー?」
「だから…俺はそういう類じゃないから…」
「俺も違う」
「は?」
「だから、俺もホモじゃないってー」
じゃあ俺にした事は、何だ?
「俺野原が好きなんであって、別にホモって訳じゃねぇよ」
あ、今はそーか
とかなんとか言いながらこいつは笑う
「…好き?なんで…」
「なんでって言われても困るけど…」
苦笑しながら笑う彼に不思議と不快にはならなかった
でも困られても、こっちも困る
もしかして俺は
からかわれてるんだろうか?
「…って、やめろよっ!」
「痛っ」
黙々と頭の中を整理しているとまたこいつの顔が接近していた。反射神経で拒否った手は見事に顔面を直撃…
「あ、ごめん…」
「のーはーらー」
(今のは俺が悪いのか…?)