『神々の総覧』と言うタイトルの分厚い本だ。
何気なくページをめくったオレは、或るページに載っていた挿絵に注目した。
背の高いグラマーな黒いドレスあの美女!
ラブドリーナだ!
「どうしたの?」
修道院長が話しかけて来た。
「この絵ですが」
本を院長に見せる。
「女神ラブドリーナの絵だけど、この絵がどうかしたの?」
オレは今までの出来事を院長に話した。
厳しい顔をする院長。
「ウソじゃないわね?」
「勿論」
「何て事を」
頭をかく院長。
何やら深刻そうだ。
「ラブドリーナって誰です?」
「暗黒魔神界に住する女神の1人で、ゴルゴンと言う魔神王のお妃なの」
「ええ!?」
仰天したオレ。
あの変態女神、旦那がいたのかよ。
「アナタ、その女神と話したの?」
「まあ」
「ふしだらな行為をしたんじゃないの?」
「イヤ別に」
「誤魔化しちゃダメ」
院長からの厳しい追及にオレは、ラブドリーナとのエッチ行為を白状した。
「何て事を」
呆れ顔の修道院長。
「…」
オレは何も言えない。
「でも、無事で良かったわね?」
「無事でって?」
「ラブドリーナは愛欲の神です。自らの美貌と色香で男の神々を虜にするのよ」
「でもオレ、人間です」
「人間の男をとても好むのよラブドリーナは。
気に入った男を徹底的に誘惑して弄ぶのね。
誘惑された男たちは、タップリと性快楽に浸された挙げ句、暗黒の世界に連れて行かれてゴルゴンの餌にされるわ」
「ゲーッ!」
知らなかった!
背筋が震える。
「今度から気をつけなさい」
「は、ハイ」
「アナタのような、色情丸出しの男が一番狙われれますからね」
オレはムッとなった。
「色情丸出しって。
男はフツー、みんなそうだよ」
「穢らわしい。単なる肉体的性快楽は、人間を堕落させるだけです」
「そうかもしれねーけど別にイイだろう?
ヤリたいものはヤリたいんだからよォ」
「まあ下品な」
「院長たちはカンケーねえけどよ。年がら年中、規則だの身分だの、どうのこうの言ってっから」
「神の仕える身分ですからね」
「でも本当は、アンタだってヤリたいだろう?」
「失礼な!」
「デカいお尻をしているし」
「!」
やべッ!!
禁句を言っちまった!