教室が、シンと静まり返る。その静寂を破るように、教室の戸がガラガラと音を立てる。入ってきたのは、若い男の先生だった。
「えーっと、まず!1-Cの担任は、俺です。名前は…」
黒板に名前を書き始める。
カツカツカツ…カラン…
「松本凌(りょう)だ。よろしくね」
「(小声で)ねぇ遥、先生かっこいいね」
「(小声で)わかるっ!」
「そこ!喋るんじゃない!俺がまだ話し中だ」
「「すいません…」」
担任の挨拶が終了した。
「じゃあ体育館に向かいます。廊下に名簿順に整列」
皆が廊下に出る。深華と遥も並んだ。すると松本が寄って来た。
「俺の晴れ舞台で喋るなよ。初の担任で緊張してんだからさ」
少し笑いながらそう喋る松本は、本当にかっこよく、深華と遥は少し照れた。
「エヘッ、すいません。以後気を付けます」
「まぁ良いけどさ。よぉしじゃあ!B組も出発したから俺らも行くぞ」