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鬼畜なアイツ 16

ねこ  2009-07-16投稿
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リョウが復活したのはそれから2日後。

俺は黙って看病していた…リイチはやっぱり、普通だった。

曖昧な時間が過ぎる。
春は終わって夏が近づいてくる。
学ランが白シャツに変わる…。

リイチは俺を桜、とは呼ばなくなった。

俺はユウキくん、と呼ばれる度、胸が締め付けられて…苦しい。
こんなんなら、人を好きになんてならなけりゃ良かった。

リョウは時々、キスしてくる。

俺もなんだか、避ける気がしなくて普通に受け止める。
激しい、舌が絡まるようなキスじゃなくていたわるような口づけだから。

リョウは好きだ。
安心するし…一緒にいて心地いいから。

リイチには締め付けられる胸が、リョウといるとホッと暖かくなる。

俺とリョウはどんどん一緒にいる時間が延びる。
リイチと二人きりにはなりたくなかったから。

リイチと二人になると、俺は俺でなくなって…リイチにすがりたくなる。
お願いだから…って叫びたくなる。

俺を好きになって、もう一度かまって。
もう逃げないからって。

でもリイチは俺を見てくれない。
見ても笑うだけ。
冷たい目も…イタズラっぽい言葉もない。

「どうしたの…、ユウキくん」

好きなんだ、リイチ。
声に…ならない…。

「なんでもない」

「そう?…あ、そうそう…リョウはいい奴だから大事にね」

笑って言わないで。
そんなこと聞きたくない

「…うん、わかってる」

リイチはニコっとして俺を見た。
その目が本当に優しくて…柔らかくて。
切なさが襲う。
愛しくて泣きたくなる。

あんな意地悪されたのに
…なんで好きなの?

理由なんてないんだろうな…あの、素直な告白が本当は嘘だったとしても…俺は…。

黙って俯く俺の頬に、リイチの指が触れそうに近づいた。

俺の目と、リイチの視線が絡む。

俺の心臓が高鳴って、リイチは…

「…さ…」

リイチが小さく囁いた瞬間、扉が開いた。

伸ばした指は引っ込んで
言葉の続きは聞けなくなった。

リイチはサッと机に向かい、俺は振り返って開いた扉から顔を出したリョウを見ていた。

…なんだったんだ?
今のは…。

さ…。

そのあと、なんて言うつもりだったの…?

教えてよ、リイチ。

俺はもう気持ちを抑えられないよ。


その夜…俺は静かにベッドから降り…。

リイチがいないのに気づいた。



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