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鬼畜なアイツ 17

ねこ  2009-07-16投稿
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どこだ…?

月明かりが眩しい。

いつかリョウがリイチを氷で出来た月、と例えたことを思い出す。

リイチ。

好きだ、リイチが。

冷たい目と、優しい目。
意地悪な言葉と、拗ねたような言葉。

リイチ…どこ…?


「……桜?…」


パッと振り向くと、驚いた顔をしたリイチが立っていた。
月明かりの下で、どこか頼りなげなリイチ。
青ざめた顔をして、人形のように立ち尽くしている。

「リイチ」

「馬鹿、なんでいるの」

馬鹿?
なんでだよ。

リイチは大きなため息をついて頭をかいた。

「…ったく…。努力が水の泡。どこまで僕を困らせるの」

「な…困ってんのは俺の方だよ!!リイチのせいで…俺は…」

つかつか、とリイチが近づく。
真っ赤になって言葉がつかえる。

「何?」

「…あ、いや…だから…お、俺は…」

馬鹿、言えよ!
リイチが好きだって…。

「桜、僕は君が好きだ」


…。

…え?


「リョウのことが好きなのは知ってる。でも僕は君が好きだ。
初めて会った時から。
だから…二人がいるのを見れないんだ。
…僕は部屋を代えて貰うつもり。このままじゃ、君を壊したくなる」
な…なに言ってんの?

リイチはホッとため息をついた。

「言わないでいようと思ってたのに…。あんな顔みたら冷静じゃいられなくなるでしょ」

「リイチ…ねえ、俺を好きなの?」

リイチの両目…あれだけ欲していた月の瞳がヒタと据えられ…俺を圧倒する。

「うん…滅茶苦茶にしたい」

「…逃げないよ、俺。…リイチ、滅茶苦茶にしてよ。俺…」

掠れた声が塞がれた。
唇に無理矢理、舌が捩じ込まれる。
リョウの優しさなど微塵もないのに…俺はおかしくなっていく。

もう何もかも 月の光のせいにしよう。

俺は、リイチにしがみついた…。


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