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魔女【15】

MICORO  2009-07-26投稿
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早朝、京都駅に着いた。

まだ人気の疎らな駅前を歩く。

凝った意匠の駅ビルには、ちょっと圧倒されたけど、
街はそれほど都会っぽくない。

とりあえず、駅前のマクドナルドに入って、朝ごはん。

客席を回っているお姉さんに、あたしは訊ねた。

「どこかに安いお宿はないですか」
って。

中学生一人じゃ、泊めてくれないよ。
保護者の方に、予約していただいたら?

お姉さんは、言った。


ホテルがダメなら、当分はネットカフェか、マンガ喫茶暮らししかない。

お金はたっぷりある。

そのうち、どこかいい所が見つかるだろう。

あたしは、マクドナルドを出て、
ママからよく聞かされていた、
三十三間堂や、清水寺を巡ることにした。


それにしても、暑い。

話には聞いたことがあるけど、これほどとは…。

夕方。
あたしは、ふらふらになりながら、四条河原町にいた。

この辺りは、有名な祇園や先斗町に程近い、京都唯一の繁華街。

あたしはすぐに、
24時間営業のマンガ喫茶を見付けた。


だけど、足が竦む。

故郷の繁華街では、
どこの店に入るのも平気だったけど、

初めての街では、なかなか入っていけない。

断られたら、どうしよう…。
警察に通報されても、困る…。

あたしは、困り果てて、
鴨川に掛かる四条大橋を何度も往復した。

それにも疲れて
橋の上から川面に映るネオンを眺めていると、

「ハイ、どうぞ」

と、ティッシュを渡された。

顔をあげると、茶髪の軽薄そうなお兄さんが、笑いかけてきた。

「どうしたん?鴨川じゃ、暑うても泳がれへんよ」

「いえ、大丈夫です」

あたしが立ち去ろうとすると、お兄さんが言った。

「あんた、家出してきたんやろ?泊まるとこ、ないんやったら、相談にのるで。
オレ、八時までここでバイトやから、どうしょうもなかったら、またおいで」


あたしの大嫌いなタイプの男。

なのに、心の中では、ホッとしてる…。

すぐに行くのもシャクだ。

あたしは繁華街を一巡して、再び四条大橋に向かった。


「やっぱり来たな。思た通りやな」

あたしは、コクンと頷いた。

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