しばらく、当たり障りのない会話のあと、佐倉が訊ねた。
(で、本題に入るけど、千絵ちゃんは今晩、泊まる所がないって?)
「…はい。すごく、困ってるんです…」
(そう…。ずいぶん若い感じだけど、それなりの覚悟はできてるの?)
「は、はい。覚悟…、してます」
(わかった。とにかく、逢って相談しよう。今、何処から?)
「京都駅です…」
(じゃあ、すぐに迎えに行くよ。晩飯でも食いながら話そう)
駅に程近い、東本願寺前で待ち合わせることにして、
電話を切った。
あたしが、指定された場所に着くと同時に、グレーの乗用車が止まった。
「千絵ちゃん、だよね?佐倉です」
左側の窓を開けて、運転してる男が訊ねた。
髪はきちんと分けてて、
少し偉いサラリーマン(課長とか部長とか…)みたい。
歳は、パパより少し若いかな?
電話で感じた通り、すごく優しそうな人。
あたしは、誘われるまま、助手席に乗った。
佐倉は紳士的だった。
平安神宮の近くで食事を済ませ、
近くのラブホテルに車を滑り込ませた。
部屋に入ると、佐倉があたしを抱き寄せてきた。
決して、強引じゃなく、
あたしが腕の中に吸い込まれてしまうような抱擁。
ごく自然に唇が重なり、
あたしの気持ちをほぐしながら、
舌を侵入してくる。
達夫のように、せっかちでもなく、
パパのように、刹那的な昂ぶりもない。
あたしの気分の昂揚に合わせた、
余裕のあるキス。
唇を吸いながら、
Tシャツの上から、乳房の膨らみを弄ぶ。
ブラの下で硬くなってきた乳首を探り当てて、指先で愛撫する。
膝は巧みに、恥骨の辺りを刺激してる。
恥ずかしいけど、
あたし、キスだけで、
立っていられないほど感じてしまった。
「ホントに、いいの?ダメだったら、僕は我慢するよ」
佐倉が、耳元で囁いた。
あたしは佐倉にしがみついて、言った。
「平気です…。抱いて下さい」
佐倉は頷くと、
あたしを腕で支えながら、ベッドに横たえた。