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それでも僕は 3

ねこ  2009-08-10投稿
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イキナリ水を引っ掛かけて大笑い。

僕は完全にムカついて、先輩だという事も忘れてホースを取り返し先輩にぶっかけてやった。

「!!オイ、俺は足にかけただけだろ!」

その慌てぶりが可笑しくて笑ってしまう。

「同罪です!イキナリやるんだから」
先輩はゲラゲラ笑いながら水滴のついた髪を払って言った。

「なんだ、お前笑えんだ…普通じゃん」

「え」

僕は絶句した。
それから赤くなった。

子供みたいに水を引っ掛けあって笑った自分が恥ずかしくて。

「この後予定あるか?」

「ありませんケド」

へ〜、じゃ付き合えよ?

と笑ってずぶ濡れのままヨロメク僕を引っ張って行く。
そして屋上に連れていかれた。
「これあげる?」
「こ、これ、酒じゃないですか」

手渡されたのはビール缶だった。
しかも飲みかけ…。

「さっきまでここで飲んでてさ。よく放課後飲んでんの。で、つまんなそ〜なコ見つけて」

…。
先輩はニッコリする。

「そいつ毎日メチャ怖い顔で花に水やってんの。誰もいないのに黙々と。で、なんか…ここで見てたらちょっと、笑顔みたくなったんだよな」

僕は赤面を誤魔化す為に渡された温いビールを一気に飲んだ。
苦い。

「余計なお世話。僕は一人のが楽ですし」

先輩は僕を見つめた。

「お前って前のリイチそっくり(笑)なぁんか、そういうのほっとけないんだよな」

リイチ?

誰。一緒にするな。

そう言いたかったのに…一息に飲んだビールのせいで頭がボウッとしてしまう。

唐突に膝がガクッと折れた。

えっ?
た、立てない(汗)

「おいおい、お前相当弱いな(焦)!
ったく…しゃあないな」

ほら、と屈む先輩。

「いいれす」

呂律さえ回ってない!

「意地張るな。ほら」

…というわけで僕は初対面の先輩におぶさり、寮まで運ばれた。
相部屋の二人は酔った僕を見て顔を見合わせていた…記憶はそこで途切れている。


それからはほとんど毎日先輩は僕のとこに来た。
チョッカイを出しに。

いつの間にか僕は先輩を心待ちにしていた。

来ない時は屋上に行く。

煙草くわえて遠くを見ている先輩を、僕は見つめていたんだろうか?

…そうだ。
いまなら否定しない。

僕は初めて会った時から亮二先輩が好きだったに違いない。

だからこそ、先輩が恋してることに気づいたんだ


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