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それでも僕は 14

ねこ  2009-09-23投稿
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「…ごめんな、気づくの遅すぎだよな。
俺さ…多分、無理やりキスしちまったあの日から…お前のこと好きだったんだと思う。

でもさ…馬鹿だからわかんなかった。
ユウキに対しての気持ちは突然すぎた。
でも、お前への気持ちは…ゆっくり、ゆっくり重なっていたから」

先輩!

馬鹿、なんで声でないんだよ!!

「…辛かったよな、俺…曖昧な態度で。
お前が泣かないように必死に笑顔作る度、抱き締めたかった。
でも、怖くて出来なかった。
何に怖がってたのか…わかんねえや」

心臓の音を聞いているうちに、段々これが「本当のこと」だって実感がわいてくる。

静かに語る先輩の声が僅かに震えてる。

「なあ…鈴はさ…そのままでいいよ…だから、そのまま、俺の傍にいてくれない?」

「…うん…いいよ」

やっと、出た声は、鼻がつまってるうえに掠れていた。
しかも、「いいよ」だなんて…いさせてほしいのは僕の方なのにね。

それなのに、先輩は「本当?本当に?」と何回も聞いて、嬉しそうにぎゅうぎゅう抱き締めてくる

痛いよ、眼鏡つぶれちゃうのに。

でもすっごい嬉しそうに「やった!」とか言いながら押し潰されてると眼鏡の一つや二つ、壊されたって構わないって気がする…。

「鈴、大好きだ」

ストレートに何度も言われた。

真っ赤になって返せない僕に、先輩は何度もキスしてきた。

「鈴がいて、俺がいて、晴天で、幸せ」

…なにそれ(笑)

思わず、二人で爆笑してしまう。


先輩、僕、幸せだよ。

幸せすぎて、もうなんにもいらないよ。

泣き笑いする僕に、先輩がそっと呟いた。

「実はさ…俺、今まで経験ないからさ…」

は?
なんの話?

「だからユウキと話したあと、リイチとも話したんだ…だから、バッチリ…意外と、男同士ってすげーのな」

…。

…ば、馬鹿!!!!

で、先輩が悪戯っぽく笑う。

「俺、打たれ弱いから…鈴、頑張れよ?」

…ってことは僕が…って

何かんがえてんの!

「もう!

先輩の、馬鹿!!!!!!」


晴天で

先輩が笑ってて


僕も笑ってる。


うん。

それが今の全てだ。

それが僕の全てだ。

この先のことなんてわかんないし、わかりたくもないけど…。

今は…。
いま、この時は。


ほんに世は事もなし。

かな。


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