その少女だか少年だかは
俺が揺するとボンヤリした目で瞬きを繰り返した
「おい、大丈夫か」
問いかけに、ハッとして俺を見上げる。
「…ここは…貴方は誰ですか?」
おいおい(´Д`)
大丈夫か、こいつ。
「俺は…通りすがりだけどな、こんなとこで寝てたら死ぬぞ」
それはシャレじゃない。
ふわふわしていた雪は今やかなりの勢いだ。
で、声からするとコイツは男の子らしい。
…ちっ(笑)
「起こして貰えますか」
消えてしまいそうなくらい華奢な指を、俺に伸ばしてくる。
思わず掴んで引き起こし…氷のような指の冷たさとその羽なみの軽さに驚いた。
少年は、ふらつきながらも立ち、ペコッと頭を下げニコリと笑った。
「ありがとうございます僕、なんか寝ちゃって」
めちゃくちゃ可愛い顔をしてるが、発言はかなり飛んでいる。
寝ちゃってって…。
「あ、大丈夫ですから。気にしないで」
透き通る茶色の瞳が雪に気づいて見開かれた。
「雪だ…綺麗だなあ」
「ん、まあな」
俺と身長変わらないくらいなのに、なぜか小さく映る。
華奢さがそう感じさせるのか…。
「これ、やるよ」
さっき買ったコーヒーを持たせてやる。
いたいけな猫みたいで捨て置くのが忍びない。
「…ありがと」
ぎゅっと握りしめるコーヒーの缶の熱が彼を暖めてくれるといい。
俺は何となく後ろ髪引かれながら、じゃ、と背を向けた。