倉真はその日、美月の家に泊まった。
雪はさらに激しさを増し、来週いっぱい続くと天気予報が告げていた。
「来週も休校だったらどうしよっか?」
「美月がそれ言うなよ。でも、そうだな。また雪下ろしに来るよ。」
二人は笑って、ベッドの上で冷える体を温めあった。
その時突然、倉真が掛けていた上着の中の携帯が振動した。
「こんな夜遅くに誰だろ。」
電話の着信表示は澄越三春だった。
「もしもし?澄越か。」
「ちょっと倉真くん、どこほっつき歩いてるの!?」
「え?」
「なんか新島さんが倉真くんに用があるとかで私に連絡してきたの。家に電話しても居ないし…。」
「新島が…?いつだ?」
倉真は三春の話と、律子のあの表情から次第に不安な気持ちになっていた。
「いつって…。1時間くらい前かな。なんか暗い声だったから聞き取りづらかったしさ。」
三春の声も徐々にトーンダウンしてきていた。
「あ、あのさ倉真くん。私も倉真くんに用があるんだけど。」
不意をつかれ、倉真は驚いた。
「なんだよ?」
三春は電話口で呼吸を整えていた。
「……今から、会えないかな?私と。」