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輪廻  2010-02-08投稿
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「澄越。ごめん…。」

「倉真くん、私には嘘吐かないで。」

「先生の家にいる…。」

三春は僅かに間を置き、電話を切った。

倉真はしばらく罪悪感と闘った。そしてとにかくもう一人、律子に連絡をとらなければと気を取り直した。
美月のカバンの中にあったクラス名簿を拝借し、律子の携帯番号を調べた。
呼び出し音がしばらく鳴り、美月の車の中で聞いたよりもか細い声が返ってきた。

「百合原くん…?どうして私の携帯番号を…。」

「澄越から連絡あってさ。どうした?何か用だったか?」

「何でもないの。大した用ではなかったから。気にしないで。」

三春の言う通り、沈んだ暗い声だった。

「新島。今日、あの時間に家帰ったらまずかったんじゃなかったのか?泣いてたろ。」

「……。私なんか、見てくれてたんだ。」

「どうした?」

倉真の問いに、律子は黙っていた。

「本当になんでもないの。」

「新島。隠すなよ。俺にだけ教えてくれ。」

「百合原くん、優しいね。………私、私、あなたの…きゃっ!!」

突然、律子の短い悲鳴と共に電話が切れた。
倉真はいよいよただ事ではないと理解した。

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